油絵のオイルって難しいですよね…初心者の方におすすめの溶き油を紹介します!

CENTER_0001_BURST20210706141718421_COVER.JPG

オジサン画家のMuuです。

これまで油絵の道具について解説してきましたが

今回は「油絵のオイル(油)の種類と使い方」を解説していきます。

この「油絵のオイル」はっきり言って

ややこしいと言いましょうか難しいです…

初心者の方や独学の方はもちろん、

ベテランさんでも意外としっかり分からないまま

描いておられる方も多いようです。

今回は基本的なことから整理して

わりやすく解説していきますね。

https://muumuuart.com/415
「モンサンミッシェル」
キラキラ画 A4
¥30,000(額縁込 \33,000)
オジサンが旅した地 ベルギーの夜景 グランプラス広場
キラキ A4
¥27,000(額縁込 \30,000)

油絵オイル 1:そもそも油絵のオイルは何のために?

油絵を描く際に絵具に混ぜて頻繁に使う油絵のオイルが「乾性油」と呼ばれる植物由来のオイルです。

これを水彩絵具と同じようにただ絵具を溶くためだけに使うと考えるのは間違いです。

実は絵具そのものにも元々少しこのオイルが調合されているのですが、

空気と反応することで顔料を閉じ込めて固める、つまり色を定着させるために必要なのです。

この乾性油を混ぜずに絵具を塗っていると耐久性のない、剥落するような絵になってしまうのです。

さらに、絵具を薄めるオイル、筆を洗うオイル、完成した作品を保護するオイルなど様々なオイルを使い分ける必要があります。

油絵のオイル は用途別で3つに分けられます。

①絵を描くときのオイル

②筆を洗うオイル

③作品保護のオイル

①の“絵を描くときのオイル”は、さらに乾性油、揮発性油、樹脂の3種類に分かれます。

乾性油:

乾性油とは、絵具の顔料をキャンバスに定着させる接着剤のような役目のオイルです。

乾燥が遅く、乾燥後も艶があり、その耐久性は何百年も昔の西洋絵画の歴史から折り紙付きです。

  • リンシードオイル:アマの種子から搾油、精製
  • ポピーオイル:ケシの種子から搾油、精製

揮発性油:

文字通り空気中に揮発(蒸発)するオイル。

サラサラしていて絵具の乾燥を早めます。主に油絵具の薄め液として使います。

ツヤがなくこのオイルだけでは定着力がないので、絵具のひび割れや剥落の恐れがあります。

描き始めのおつゆ描きという段階で使用します。溶かす力、溶解力が強いので修正が簡単です。

  • テレピン (ターペンテイン):松ヤニから精製
  • ペトロール:石油系精製油


樹脂系オイル:

ワニス・バニス・バーニッシュと呼ばれるこれらは、仕上げ剤です。

ツヤ消し、ツヤ出し、保護剤としての効果があります。

天然樹脂であるダンマル、コーパル、マスチックなど。そのほか化学合成されたアルキド樹脂があります。

描画用ワニス

描画中に使用するワニスです。

  • パンドル:ダンマル樹脂+ペトロール+ポピーオイル
  • ダンマルワニス:ダンマル樹脂+テレピン
  • ベネチアンテレピン:ヨーロッパカラマツの松ヤニ成分
画面保護用ワニス

タブロー

完成後、半年以上かけて完全に乾燥させた後に塗布します。

手軽なスプレータイプもあります。


ブランマットリキッド

つや消しの保護液で、マットな仕上がりになります。

油絵オイル 2:ではどのオイルを選べばいいのか?

オイルを使い分けることで、絵肌の表情も変わってきますので、是非研究して楽しんでみて欲しいところではありますが、ただ初心者の方には実際描くときにこれらのオイルを細かく変えて使うのは大変だと思います。

そこで作られたのが“ペインティングオイル”です。(ペインティングオイルは商品名)

乾性油、揮発性油、樹脂、乾燥剤をちょうどいい割合でブレンドしてくれたものです。

初心者の方はとりあえずこのペインティングオイルをおすすめします。

あと揮発性油であるテレピン(ホルベインではターペンタイン)も持っておいた方がいいでしょう。描く段階や技法上も広範囲に使えます。

しかし、何層も塗り重ねず、厚塗りで一気に描くような場合は、この揮発性油は不要です。

ですが大半の場合、何度も色を塗り重ねて深みを出していくという描き方が基本だと思います。

その場合、揮発性油を混ぜて粘度を調節したり乾燥を早めたりします。

また制作の初期段階では絵具を揮発性油で薄く溶いて大雑把に一気に塗るのにも使います。

油絵オイル 3:実制作でオイルを使う順番

では実際、どの油絵オイルをどの段階で使えば良いのか?

正しい使い方をしていないと後々描きにくくなったり、完成した作品が数年後に剥落することにもなるので、ある程度正しい順番を覚えておきましょう。

ここでは塗り重ねていくオーソドックスな描画における「制作段階ごとのオイルの使い方」をご紹介します。

描き始め

最初はテレピンやペトロールを使ってシャバシャバに薄めた絵具で手早くおおまかに塗っていきます。いわゆる「おつゆ描き」です。

初期の描き込み〜中盤

おつゆ描きを終えると、次は乾性油を混ぜ、徐々に量を増やしていきます。

テレピンと調合油のペインティングオイルの割合を、3:7から最終的には2:8くらいで描いていきます。

仕上げ

仕上げの段階ではペインティングオイルに描画用ワニスを2~3割ほど混ぜて細部を描き込んでいきます。艶が出てきます。

速く乾燥させるには

絵具を速く乾燥させたいときは『速乾メディウム』や『クイックドライングメディウム』などを混ぜて描くと速いです。電気ヒーターの上に乗せたりする荒技もあるようです。

https://muumuuart.com/415

油絵オイル 4:初心者がやりがちなミス


では初心者の方のやりがちなオイルの使い方ミスをご紹介します。

使うべき油絵オイルの種類を間違えてしまう。

描くことに集中しすぎて、最初から最後までテレピンで描いてしまったということがあります。

2種類のオイルの入った瓶を並べて置いておくようにしましょう。

せっかく完成しても後でひび割れて剥がれ落ちては取り返しがつきませんので、しっかり使い分けましょう。

油絵オイルを使う量が多い

乾性油は乾くのが遅いので、オイルを多く使い過ぎるといつまでたってもベタベタのままで、これでは制作が進まないのです。

実は油絵具には、そもそも乾性油があらかじめ少し調合されているのです。

だから制作中盤以降、ペインティングオイルは最小限にとどめましょう。

豚毛で描く場合だと、チューブから出したままの固さより1,2割ぐらい柔らかくなれば十分です。

軟毛筆の場合は、細部の描き込みの際はもう少しオイルを多めでも構いませんが、粘度を調節はペインティングオイルではなく揮発性油を使った方がいいでしょう。

 

https://muumuuart.com/profile-2/

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です