【解説】油絵の筆の種類と特徴を知っていると選びやすい

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オジサン画家のMuuです。

今回は油絵(油彩)の筆の種類とそれぞれの特徴について解説します。

おそらく絵を描く人なら一度は困ったことがあるのが筆の選び方ではないでしょうか。

私も初めて筆を買うときいろんな種類があって、どれを選べばいいのか分からず困りました。

店員さんにも聞きはしましたが、言われるがまま、

みんなが使ってそうな豚毛の筆を選んで使っていました。

しかしいろんな油絵の筆を試して描いているうちに、

自分の画風にとって描きやすい筆というのが分かってきて、

今では豚毛の筆はめったに使いません。

どの筆がどういう描き方がしやすいのかその知識があれば

あなたの画技はさらにレベルアップすることでしょう。

最後まで読んで、油絵の筆の種類と特徴を知って、

私のように遠回りをしないでくださいね。

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油絵の筆の特徴1「材質」

油絵の筆は大別すると「硬い」毛の筆と「柔らかい」毛の筆に分けられます。

《硬い毛の筆》は主に豚毛で、毛が硬くて太く、弾力や耐久性があり、毛先は2~3本に分かれた枝毛のため絵具の含みがいいです。豚毛の多くは中国産です。中でも重慶産のものは定評があります。油絵具はボッテリとした粘りがあるので、腰の強い “豚毛”が使いやすいとされています。豚毛は油絵の筆として一番ポピュラーで、初心者用の油絵セットには通常この豚毛の筆が入っています。

《柔らかい毛の筆》はセーブル(イタチ科の動物)、リス、馬、雄牛、狸などの獣毛を使ったもの、そしてそれらを模したナイロンなどの合成繊維があります。特にセーブル毛の中で、コリンスキーと呼ばれるテンの毛は、柔軟性・穂先のまとまり・絵具の含みなどが優れる最高級筆です。逆に、ナイロンなどの合成繊維を使用した安価な筆があり、アクリル絵具にも使用されています。合成繊維の筆の中には、獣毛の筆に近い使用感を再現したリセーブル筆もあります。軟毛筆の特徴は、柔らかく、ほどよい弾力があり油の含みが良く、繊細な表現や滑らかな塗りなどに向いています。

油絵の筆の特徴2「形状」

次に穂先の形状についてです。

カタログなどを見るとたくさんの油絵の筆の種類がありますが

次の4つが代表的な形状です。

①丸筆(ラウンド)、②平筆(フラット)、③フィルバード、④扇形(ファン)


①ラウンドは丸くて穂先がとがった形状です。線から面まで描画でき、細部を描いたり伸びがあり流れるような線を描くにも使えます。また、穂先が細いものは細密な描写にも使われます。私はこの平筆を好んで使っています。

②平筆の特徴は、比較的広い面を塗るのに適しています。また、タッチを活かした塗込み、エッジを生かしてシャープな線を描くこともでき利用範囲が広い事です。

③フィルバードは、平筆の角を丸くした形状です。面を塗る際に、平筆ではエッジが立ってしまいますが、それを防いで滑らかに塗れるわけです。ぼかしながら滑らかな表現をしたり、サイズを小さくすれば描き込みもでき、ラウンドに続いて使いやすいと思います。

④扇形(ファン)は、扇を広げたような薄く平たい形をしていて、グレーズ技法やぼかしに用います。特殊な表現技法なので、絶対必要というものではありません。

油絵の筆の選び方1「最初に揃えたい筆」

初心者の方は豚毛の筆が道具セットにすでに入っているかと思います。

しかし硬毛の豚毛筆だけでは描きにくいので、軟毛の筆をいくつか持っておくことをおすすめします。

最初に揃えたい筆は、

硬毛筆=豚毛(形状:ラウンド)小~大サイズ数本

(形状:フィルバード)小~中サイズ数本

軟毛筆(形状:ラウンド)極細~中サイズ数本

油絵の筆の選び方2「硬毛と軟毛の制作時の使い分けは?」

1.硬毛と軟毛の使い分け方

では硬毛筆と軟毛筆、実際の制作時にどのような使い分けになるのか。

硬毛筆の豚毛は、オイルを混ぜる量を少なくして厚塗りをしたり、タッチを生かした描画に向いています。また下地塗など大まかな塗りにも使います。


軟毛筆の方は写実的な繊細な描画、人の肌など滑らかな表現に適してます。腰が弱いためオイルを多めに混ぜ薄塗りとなります。古典絵画のような透明感のある写実的な表現が可能です。

2.制作過程での使い分け

ではオーソドックスな描き方での、制作過程による使い分けの例を紹介します。

まず、描き初めの段階では大まかに手早く塗る感じなので、太めの豚毛の丸筆・平筆などを使って、強い腰と弾力性によって沢山の絵具を乗せて、大きな面に一気に塗ります。

最初の大雑把な塗りが終わると、次は少しサイズを小さくして丸筆やフィルバードなどを使って描き込んでいきます。

さらに後半以降は、軟毛筆に切り替えて、細かな描写をしたりぼかしたりして仕上げていきます。

この場合、描き初め~中・後半まで豚毛(全過程の7割)。後半~仕上げが軟毛筆(3割)という使い分けイメージです。

おすすめの油絵の筆紹介

名村大成堂 ナムラ HK 10号丸筆 81204101

1940年創業、日本画筆など、多様な筆を製造販売している「名村大成堂」。「ナムラ HK」は、中国重慶産の良質な豚毛を使用し入念な製法を用いた油絵筆です。コシの強く、細かな塗りから広範囲の塗りまで汎用性の高い丸筆タイプです。

名村大成堂 ナムラ HF 12号平筆 81207122

硬めの豚毛でコシが強いので油絵具の重み負けにくく扱いやすい。フィルバート型で広範囲の塗りの他、曲線なども滑らかに描け、上級者にも愛用されている筆です。

名村大成堂 ナムラ SK.Line 6号丸筆

毛先がまとまっていて柔らかくしなやかで面相筆のように細かく繊細に描けます。高級獣毛のコリンスキーセーブルを採用。絵具の含みがよいため、毛先が細くても描きやすいのが特徴です。

ホルベイン 油彩用刷毛 ハイラックブラシ No.1 101131

1900年創業の大阪発祥の老舗「ホルベイン」。穂巾が3cmとワイドな形状。軸が短いので、ブレずに塗りやすい。豚毛でコシが強く、下地や広範囲に同じ色を使用する際など一本持っておくと重宝します。

ホルベイン 軟毛H-F

乾燥速度を上げるメディウムを使用する際におすすめ。高級獣毛のウォーターバジャーを使用し、細い毛先で弾力があります。絵の具の含みもよい。フィルバート型なので、汎用性の高い筆です。

ホルベイン 硬毛筆(豚毛)EL-h

豚毛の硬さを備えつつ、キャンバスにも馴染む穂先が特徴。フラット型で、直線も描きやすい。ELシリーズは、原毛の特質に合わせて独自の下処理が施され、様々なサイズの豚毛をバランスよく混ぜて仕立ており、手への馴染みがとても良いおすすめの油絵筆です。

ラファエル 油彩筆 ファン 3695

世界中にファンを持ち200年の歴史ある老舗筆メーカー「ラファエル」の扇形筆。揮発性油を薄く溶いて描く「おつゆがき」や、ぼかしの表現に使用します。中級~上級者向けで、深みのあるさらなる表現を目指したいときに。

ターレンス ヴァンゴッホ 油彩画筆GEKF筆(豚毛フラット)

オランダ発の絵具メーカー「ターレンス」。「ヴァンゴッホ」は、品質が良くお手頃な画材を多数展開する人気シリーズです。豚毛は中国の漢口産。毛先が中に集まるよう「合わせ仕上げ加工」を施しており長く使える逸品です。

ターレンス レンブラント 油彩画筆240シリーズ

ターレンスの「レンブラント」シリーズは、多くの画家が信頼を置く。レッドセーブルの毛を100%使用している高級筆です。フラット形状で、毛にコシがあり毛先がまとまりやすく、コントロールしやすい逸品です。

アルテージュ キャムロンプロ 5本組セット 164092

油絵を始めるときに便利な筆が揃った5本組。アクリル・水彩にも使用できます。ナイロンと毛を混ぜて作られており、しなやかさとコシの強さを両立した絵筆です。シャープな描き味も魅力です。

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